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■2018/11/30 『見渡す限り』
 道が変わる。空が変わる。今年も繰り返し見上げた秋空がその気配を絶った頃、また冬が来た。新しい土地の新しい季節には戸惑うことばかりで、今は予想以上の寒気に震えている。やがてこの空気と季節と景観が身体に馴染む頃、僕はまたこの場所からいなくなるのだろう。本当に、時間の流れはただ早くなっていくばかりだ。毎朝対面する自分の顔に明らかな衰退を感じる。どこかしら、そして何かしら問題は起きている。これまで培ったものの乏しさでそれを乗り越えていけるのかはなんとも怪しい。例え乗り越えられなくても時間は進む。道が変わる。空が変わる。僕も変わる。

 諦めきれなかったことがただ一つでもあればよかったのに。最近はそんなことを考えることがある。忘れられないことが一つでも少なければよかったのに。そんな風にも考える。諦めも執着もどこにも持ち越せはしない。そんな風な言葉遊びで自分を慰める。窓越しに見る世界は静かで、またこんな風に冬が来ようとしている。そこに手を伸ばしかけてやめたことに、きっと意味なんてないのだろう。

 手の届くところの全部を手に入れられるわけでもない。変えることも、変わらないように守ることもできそうにない。諦めきれなかったことがただの一つでもあればよかったのに。空は変わった。冬空はあんまりにもきっぱりとしていて、もう、霞か雲かと迷うこともない。
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