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■2018/12/13 『繰り言』
 やがて消えていくものをぼんやりと見ている。もう消えてしまったものをぼんやりと思いだす。言葉も気持ちも面影も眼差しも鼓動も体温も消え去ってしまった。残り香のようなものをぼんやりと探す。交差点も店舗も河川も駅のホームですら形を変えてしまった。ぼんやりと自分が何を考えていたのかを思い出そうとする。しつこく繰り返し思い出そうとする。ぼんやりと思考は消え失せる。冬の青空は遠すぎて、僕にはもう、それがかつて見たものと同じかどうかすらわかりはしない。

 凍えながら立ちすくむなんでもない存在の上に、当たり前のような顔をして夜が来る。地上には霜が降り始める。ふと頭上を駆けていく流星を認めた。震える舌は声にならず、ただ弱々しい腕をそちらに伸ばす。流星は消える。それを追いかけて巡らせた視線は、やがて世界と出会った。世界は凍える存在に優しくはない。ひたすらに厳しく、痛く、苦しく、しかしなぜか存在はそれを憎み切れない。消えていった流星を思った。消えていった色んなものを思った。消えていった全てに、やがて手を振ることを決めた。当たり前のような顔をして自分を傷つけるなにもかもにそっと足を下ろして、また空を見上げようと思った。それに意味があるのかどうかなんてわかりはしないだろう。意味なんてありはしないのだろう。意味は、自分で見つけ、自分で作るものでしかないのだ。意義は、自分でそう信じるものでしかないのだ。

 幾ら言葉を重ねてもいつかの青空には届きはしないだろう。トートロジーとかいう名前の言葉遊び。重ねるほど重く濁るだけのあさましい遊び。繰り返すほどに自分を傷つけるだけの冗語をしかし止められず、凍えながら同じ空を見つけようとする。
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